母たちの足許

 村岡花子さんの評伝『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』は第二次世界大戦時の空襲のこんな場面から書き始められている。  三方向に火の手が上がり、残る大森駅方面の方角に逃げるしかない、と思い定めた花子は書斎の蔵書に別れを告げ…